インデックスに戻る



Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2003年07月のニュース一覧
▼[2003.07.30]広がり
▼[2003.07.28]根幹原理
▼[2003.07.26]突貫売り文句
▼[2003.07.24]尋找尋找東西
▼[2003.07.22]ここで生きて
▼[2003.07.20]思慮亡き司法
▼[2003.07.18]地より言より
▼[2003.07.16]地味エキスポ
▼[2003.07.14]イッツ・ショータイム
▼[2003.07.13]評価されるべき曲たち
▼[2003.07.11]虫酸の走る無駄
▼[2003.07.09]もうひとつの夜空
▼[2003.07.08]思い出のMP3
▼[2003.07.07]求めるもののある国
▼[2003.07.05]ハプティック・コスモス
▼[2003.07.03]知的財産の推進計画案
▼[2003.07.01]華四分五裂

■2003年08月のニュース一覧
■2003年06月のニュース一覧


 
[2003.07.30]
  広がり


 ▼NFL選手の架空チームで競うファンタジー・フットボール、巨大ネットビジネスに成長(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030729203.html


 規制も,弾圧も,役に立たず,すべてを潰すしかない。この広がりを得たスペースでは。

quote:実在するNFL選手を集めて架空のチームを作り,実際の試合でのデータをもとに競い合うファンタジー・フットボールは,巨大ビジネスになっている。ファンタジー・フットボール運営の大手サイトは,CBSスポーツライン,ヤフーなどだが,ニュースや分析データを販売する小規模サイトも人気だ。小規模サイトのデータは,大半の人が大手サイトをみているなかで秘密兵器になるのだ。

 アメフトはほとんどの場合データが命だが,ときに奇跡がデータを上回り,そのまま終着駅にたどり着くこともある。ケガをしたクォーターバック(QB)の代わりに仕方なく出した控えQBが,そのままスーパーボールQBになることも,昨今は特に多い。だから実際のNFL同様,ファンタジー・フットボールも面白い。

 記事でやはりいちばん面白いのは,大手サイトのデータなんかみんなみている,みている人が少ない小規模サイトが人気,というところか。つい先日まではウェブにマスメディアなど存在しないと思っていたが,いまは人気のサイトはたくさんの人がみている。みている人の興味は限られるとしても,同じ興味を持っている人ならほぼ同じサイトの情報を持っている。アングラなサイトと思っていたところでも,そりゃ昔も多くの人がみていただろうけど,いまは桁が違うほど多くの閲覧者数が集まる。もういまは,アングラサイトなんて呼べるサイトは存在しない。マスコミュニケーションを生み出せる場所になったこの場所は,火を放てば燃え広がって関係ない人も死ぬ。なんにしても,中途半端なことは許されないということだ。




 
[2003.07.28]
  根幹原理


 ▼独最高裁「検索エンジンのニュースソース表示は合法」著作権及ばずと判示(Impress INTERNET Watch)
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0723/paperboy.htm


 すべての情報は,誰か,のものではない。

quote:独国最高裁は,検索エンジンのペーパーボーイ社がメディア企業のニュースサイトのニュースにリンクし,コンテンツをデータベースに保存している行為は著作権違反などにあたらないとして,合法の判断を下した。

 日本の総務省がウェブページを逐次保存して一般公開する,インターネット図書館を構築するという話が出てきた(Sankei Webの記事)。果たしてどれほどのものになるのかせせら笑って待ちたいと思うが,使えるものになるかどうかを判断する基準は,ただ1点しかない。頭の悪い人が念仏のように唱えて裁判所に訴えたりするような現行の著作権に違反しているページを収集し,公開するかどうかだ。すれば役に立ってみんなに喜ばれるし,しなければ閑古鳥も逃げ出すような誰も訪れないサイトになるだろう。

 国家がやるから他人のものをコピーしても許される,のではない。ネットワーク上に持ち込まれた情報は,すべての人が自由に使うことができ,そこから未来は形作られていく。「情報」という言葉にはもちろん,音楽ファイルも入るし,動画ファイルも入る。ウェブの先祖であるヴァニヴァー・ブッシュの記憶の拡大構想(MEMEX)の根幹原理は,すべての情報を一所に蓄積し,検索によって探し出せて結び付けられて,新しい知を生み出す,というものだ。もうそろそろ本当に,一言目に著作権の話をするような莫迦を排除するべきだ。殺さなきゃいけないのなら,殺した方がよい,いさぎよく。




 
[2003.07.26]
  突貫売り文句


 ▼米Lindows.com、今度はCD起動のパソコンをリリース、価格は169ドル!!(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/07/23/51.html


 MP3.comもそうだった。突貫売り文句を繰り出せる,アイツらしい。

quote:リンドウズ・コム社は,リンドウズCDで起動するパソコンをリリースした。インターネットと基本的なビジネスソフトだけが必要なユーザー向けで,169ドルから。ハードディスクを内蔵しておらず,ネットワークPCとして利用するか,USBでストレージを接続して使う。

 このページでもなんどか名前が出てきたリンドウズ。そのころとはまったく別物になったけど,相変わらず魅力的な特徴を前面に出して,「売り方」を知っているマイケル・ロバートソン氏の力が遺憾なく発揮されている感じ。そう,前のリンドウズは,ウインドウズのソフトが全部使えるリナックス,という売り文句だったが(そのときのIEとワードが動いてるpic),現在のリンドウズは,ウインドウズなんかなくても十分に使えて安いリナックス,という感じか。

 気になるのはやはりデフォルトでネットワークドライブを必要とするところか。初心者相手なんだからなかなかそのように使ってもらうのは難しそうだけど,将来的にはすべてのパソコンでそれが普通になるのだから先手を打つのは正しい。マックOS X 10.3でiDiskのネットワークドライブ化があるけれども,リンドウズの方が強引に進めているのがよい。にしても,日本でこれを売るとしたら2万数千円なのかな。数十台のパソコンにMSオフィスを入れなきゃいけないような会社なら,オフィス1個買うお金でパソコン1台+1年間のさまざまなソフトウェアが買えるわけで,こりゃなかなか侮れないかな。




 
[2003.07.24]
  尋找尋找東西


 ▼ウォズの新しい「ひみつ道具」は「さがしもの発見器」(ZDNet PCUPdate)
  http://www.zdnet.co.jp/products/0307/22/ne00_woz.html


 「探してもみつからないから,探し物っていうんですよ?」「ぇ?」

quote:スティーブ・ウォズニアック氏が立ち上げたテクノロジー・ベンチャー,ホイール・オブ・ゼウス社の詳細が明らかになった。同社は子どもや動物,所有物などを無線とGPS技術で追跡するサービスを提供する。家庭のベースステーションから1.6〜3.2km以内であれば,特定地域から出たときに携帯電話や電子メールで警告され,位置を測定できる。

 どうでもいいことだけど,先日飼っている猫が窓から飛び出した。家から出さないようにしているんだけど,なにかのはずみで網戸が開いてしまったようだ。慌てて探しに出て探したりしてたが,ふと帰ってきて窓の外をみると,隣の家のベランダにいた。そんなどうでもいい,GPSなんて使うほどのこっちゃないのはわかっているけど,あれば便利なときもあることはある。

 子どもや痴呆気味の高齢者にそんなものをつけるというのも,他人が考えるとなにやらいかがわしい使い方に思ってしまいもするが,関係している人にとってはあれば便利なことなのかもしれない。黙って恋人の居場所を突き止めるなんて使い方でなければ,その是非は問えない。無線とGPS,そして携帯電話へのメール,どこにもワイヤーがないまま探し物をみつける,またはそれによって事故を防ぐ,事件を防ぐ。糸をたぐり寄せて探すようなものなんだけどどこにもワイヤーがないというスマートさは,気を許せる,求めてしまうものかもしれない。




 
[2003.07.22]
  ここで生きて


 ▼「P2Pファイル交換で禁固5年」の法案(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0307/18/nebt_17.html


 ここで生きていくために,悪いことと悪くないことをきちんと,知ろう。

quote:米国下院に,ネットユーザーがファイル共有を行うと最大で禁固5年,罰金25万ドルを科す法案が提出された。この法案,ACCOPSが通過すれば,検察側は著作権のあるファイルがダウンロードされたかを立証する必要はなくなり,公開されているのを証明するだけで立件できる。

 面白いなぁ。実際にダウンロードされたかどうかではなく,公開してあれば牢屋送りになるということ。宝石が宝石屋から盗まれるのは,盗んだ人間が悪いのではなく店頭にそんなものを飾っておくヤツが悪い。勝手に街中で写真を撮られて殺人犯の写真として公開されたとしても,無防備に街中を歩いているヤツが悪い。というのとさして変わらないので,笑い話として面白い。

 実際のところ,ファイルを公開するというのはなにも悪いことではない。ファイルが公開されるのを悪というのであれば,この世のあるウェブページすべてを閉鎖すればいい。知も主張も,文化も創作物も,すべてのものは手の届くところにある,そんな社会がネットワークである。すべての商業活動はそれと相容れるわけはなく,別次元で構築されるべきである。構築できないものはなくなるだけだ。もうそういう社会になるか滅亡するかのどちらかなんだから,ちゃんと生きていこう,このネットワークで。




 
[2003.07.20]
  思慮亡き司法


 ▼2ちゃんねる管理人に400万円命令 DHC損賠訴訟(asahi.com)
  http://www.asahi.com/national/update/0717/033.html


 人を守れぬ法律を作っていく裁判官がいる国に,未来はありますか?

quote:2ちゃんねる掲示板への書き込みで名誉を傷つけられたとして化粧品会社の社長が掲示板管理人に計6億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁であった。判決は,削除要請から2ヶ月半も放置したとして,管理人に計400万円の支払いを命じた。

 やっちまったね。どうするつもりなんだろ? 責任をサイト管理者ひとりに負わせるというのは,危険を通り越して横行に近いものがある。2ちゃんねるはもぉどぉでもいい。書き込んだ人間のIPアドレスも記録しているそうなので,これからは書き込んだ人間と被害を受けた人間が直接やり取りすればいいだけのことだ。が,こんな判決を出してしまったらこれから普通に普及する掲示板に手も足も出なくなる。

 WinnyのBBSはまだまだ人は少ないが,普及する素地はすでにある。スレッドを立てた人間は特定できるかもしれないけど,レスをしている人間の特定はほぼ不可能と考えていい。特定のサーバー上にあるものでもなし,管理者はいない。あえて云えばスレッドを立てた人間だろうけど,スレ立て人の意図しない方向に話が進み,誰かが被害を受けるレスがつくこともあり得ない話ぢゃない。それに,スレ立て人が24時間始終スレを監視していることなどもできない。掲示板管理人の責任を認めるということは,誰も責任を負えない被害を自ら作り出しているようなものだ。思慮ない判決よ,亡国の極みよ。




 
[2003.07.18]
  地より言より


 ▼オンライン・コミュニティーで『ハリー・ポッター』最新作をいちはやく翻訳(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030716203.html


 放送されたTV番組をエンコードしてサーバーに置いておくと,2日後には英語字幕が付いたファイルができている。その2日後には仏語字幕も付いている(MKVならより簡便に他言語化が進む。地域よりも言葉よりも,ファイルは広がっていく。

quote:独国ではハリー・ポッターシリーズを独自に翻訳するオンライン・コミュニティが結成されている。参加者は5000人近くいる。出版社からの依頼で,翻訳物を手に入れられるのはコミュニティの参加者だけだが,肝心なのは翻訳を出版することではない。人々がこのプロジェクトに参加することだ。

 とはいえ,せっかくの制作物が日の目をみないということはほとんどない。ドイツ人の間でこの翻訳ファイルが広まるのを止めることはできない。よく目にするのは,洋画の動画ファイルに日本語字幕が入っているものや,逆に日本のアニメ番組などに英語字幕を入れた動画ファイルだ。特に洋画の場合は,劇場でハンディカムで録画したものに日本語字幕をのせて流通することもあるので,米国での封切りと同時に日本語字幕付きでみられることもあったりする。

 もともと国家的な制限や言語的な制限がなくて当たり前なのがネットワークであるのだから,権利取得・翻訳・印刷などに数ヶ月から1年近く待たされるのなど,一言で云えばアホな時間なのである。素人が数日でできることをプロが数ヶ月もかかっていたら,けなされて当然。出版社同士もネットワークでつながり,配給会社同士もネットワークでつながっているのなら,利点は活用できるはずであり,活用しないようなら素人に負けて当然。文句を云うのも筋違いである。うだうだしているのなら,もう存在自体いらない。




 
[2003.07.16]
  地味エキスポ


 ▼『マックワールド・エキスポ』、最後のニューヨーク開催にファン嘆く(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030715104.html


 本来であれば,世界開発者会議ではパンサーを,マックワールドでパワーマック G5をという棲み分けができただろうに。それさえもせずに来年は不参加というのは,IDGとの確執がすべて。

quote:今週ニューヨークで開かれるマックワールドエキスポは,地味な雰囲気になりそうだ。97年にアップル社に復帰して以来,初めてジョブズCOの基調講演もない。

 Think Secretの記事では,今年はいつもと違いアップルのブースの警備がまったくないという。いつもはどでかい暗幕で覆われることもあるのに。つまり秘密にすべきものはなにもないということ。いくつか噂が出ているものは,パワーPC G5のxServe,パワーマック G5に合わせたディスプレイ,ブルートゥースで利用するキーボートとマウスの発表。

 だがxServeは今回のエキスポの客層とはずれているし,ディスプレイや,キーボートとマウス(というよりブルートゥースアダプタ)という周辺機器は,すでにパワーマック G5と一緒に購入している人もいそうなので,ここで発表するのは間が悪い。アップルとしては既存マックユーザーに媚を売る必要はなく,この地味な雰囲気は,妥当ということか。まぁそれよりも,パンサーとパワーマック G5で役者は十分という気も。




 
[2003.07.14]
  イッツ・ショータイム


 ▼Macworld Expo NY 2003 イベント(TidBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-687.html#lnk2


 役者はそろっている。ショータイムの始まり。

quote:正式名称はマックワールドクリエイティブプロ・カンファレンスアンドエキスポのようだが,マックワールドエキスポでいい。16日から18日のニューヨークはショータイムだ。TidBITSのイベントもある。

 まぁジョブズの基調講演もなく,さして大きな発表も期待はできないんだけど,InfoWorldの記事では希望的観測として,パワーPC G5を搭載した新しいxServeの登場をあげている。すでにパワーマックG5発表後にxServeの供給が止まっているという話もあり,そりゃ当然リプレースされてしかるべき製品。遅かれ早かれ登場するだろう。だが,一般来場者にパンサーとパワーマックG5をみせるためのエキスポという見方が妥当だ。

 パンサー(マックOS X 10.3)について。●クイックタイムのMPEG4での5.1チャンネルサポートは(picpic)一般の動画ユーザーにはあまり恩恵がないが,今後に期待がつながる。とりあえず全体的なMPEG4の体制整備は急務である。●iDiskのローカルディスク化は(pic)早く味わいたい。ネットワークディスクへの第一歩である。●入力メニューの「ことえり」の欄に「Ainu」というのがあるんだけど,ホント?(pic)●いままではTinkerToolで行っていたファインダーの終了がメニューに追加されているようだ(pic)。助かる(再起動だけだと凹む)。●もう復元できないようにゴミ箱で捨てたファイルを完全抹消する機能もありがたい(pic)。あって当然。●動かしてみなわからんエクスポゼは(picpic),純粋に楽しみ。●システムの状況を監視するアクティブモニターの「Network」では,アップロード・ダウンロードのデータ量も監視してくれるようだ(pic)。なにかとありがたい。(以上スクリーンショットは噂サイトなどからの転載)




 
[2003.07.13]
  評価されるべき曲たち


 ▼リスナーの嗜好を学習して選曲に反映させるネットラジオ局(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030709204.html


 音楽を評価していいのは,聴く人だけだ(作り手でも売り手でも批評家でもない)。評価されるべき曲は,たくさん待っている,はず。

quote:ストリーミング・ラジオ局のラスト・エフエムは,リスナーの好きな曲,嫌いな曲を学習し,そのデータに基づいてリスナー個人の好みに合う放送を行っている。放送された曲を最後まで聞けば好きな曲として記録され,途中で「チェンジ」ボタンを押して曲を変えると嫌いな曲になる。

 ネットラジオはやはり著作権料の徴収が始まった時期から(過去記事),以前の勢いがなくなった。放送局は当然少なくなり,維持しているところでも活発さが失われた。が,このラスト・エフエムのシステムはすごい。ちょっと音楽業界の人は真面目に考えてみて欲しい。これほど完璧にユーザーの志向や興味をきちんと知る方法がいままであっただろうか。この方法で人気が確認できたらCDをリリースする,リリース枚数を大幅に増やす,より宣伝費をかける,ということが可能になる。しかも間違いはない。記事中で書かれているが,これは革命的な存在になりえる。

 Live365というネットラジオ局は,放送している曲の切り替えはできないのでラスト・エフエムのような自動化はされていないが,曲への評価は手動でできる。プレイリスト(pic)の曲の右側にある「+」はぜひ購入したいというウィッシュリストへの登録,手のマークの「↑」は好きな曲,「↓」は好きくない曲(右側の「BUY」ボタンを押して購入しようとした曲もちゃんと記録される)。ラジオの開設者はその評価をみることができて(pic),曲の入れ替えの参考にできるようだ。評価の高い曲を残し,低い曲を除けばいい。しかもかなり詳しく,「Drops」はユーザーがラジオを停止した数,「Loss」がそのパーセント(曲の時間が長いと当然増えやすいのでそれとの兼ね合いで評価を判断するのがよいようだ)。聴いた人の数・時間が増えれば,確実に正確な評価となる。まず聞かせないという前提でプロテクトをかけ,音楽を評価する権利までも奪う愚かな作業をして売り上げを自ら下げている音楽業界の人は,無料でネットラジオ局でも開設してユーザーの声を聞くべきだろうな。しないと思うけど。




 
[2003.07.11]
  虫酸の走る無駄


 ▼PtoPで「匿名」はありえるのか??(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20059808,00.htm


 名前も知らない異性を好きになることだってある。名前を知って好きになるんぢゃない。ワイヤードでの人の価値も,同じだ。

quote:カザーなどの人気の高いピア・トゥ・ピア(P2P)ネットワークでは身分を隠すことはできない。全米レコード協会はユーザーを告訴する考えを明らかにしているが,ユーザー数には変化がないようだ(編集部注,日本で開発されたP2Pファイル共有ソフトのWinnyでは,利用者同士が匿名でファイル交換が可能)。

 ウェブページを公開することと,ファイルを共有することは同じである。公開されているウェブページで,書かれているテキストをコピペしたり,画像をハードディスクをコピーしたりできないページなど存在しないように,ネットワーク上に流通しているものに,歯止めをかけることはできない。現在はハードディスクはローカルにあるもの,だが,そのうちネットワーク上に配置されるものになる。その場合,ハードディスクのデータは公開したものではなく,公開されているものである。音楽であれ,動画であれ,すべてのファイルはなにも変わらない。

 そも,ファイルを公開することが悪いことだと思い込ませようとしている人たちを,きちんと排除しよう。ファイルの公開は,公開している人かほかの誰かの制作物を公開する。現時点ではそれを悪事と考え込ませようと躍起になっている人がいるが,公開されて当たり前なのだから罪を問うこと自体,意味がない。もともと匿名性を考えずにつくられているインターネットなので,匿名のままでいることは難しいが,かといって意味もなく本名を求められる必要もない。リアルに固執し続けたい人はいつでもいるが,それに付き合っても利益はなにもない。一言,ほっとけ。




 
[2003.07.09]
  もうひとつの夜空


 ▼世界つなぐ“仮想天文台”構想(Sankei Web)
  http://www.sankei.co.jp/news/030707/0707sha112.htm


 わたしたちがみている夜空は,たくさんある夜空のひとつでしかない。

quote:すばる望遠鏡などで蓄積された天体の観測データを,インターネットを通じていつでもどこでもみられるようにするバーチャル天文台構想が進行中だ。「データは人類全体の財産。共有してよい結果を出そうという機運が高まっている」と国立天文台助教授は話す。

 だれかの頭のなかにしかない知識,には意味がない。発表せずに敬われる知識もない。発見を生み出すデータも同様で,どこかのローカルのコンピュータにあったって,それによってあしたは創られない。すべてのデータ,ウェブページ,テキスト,オーディオ,ビデオは,パブリックであること。人種,住む地域,言語,国家的規制などによって,制限を受けないこと。これが,すべての規範である。

 空はひとつぢゃない。リアルでみあげる夜空は,ワイヤードの夜空のなかにも存在している。そして,ワイヤードの夜空はほかの無数の夜空も内包している。北にある星が南にあり,西から昇る月が東へ向かう。N49 白色矮星はRGBのユラギを超え,ベガとアルタイルをグーグルに導く。煌めきのまぶしさに手をかざすと,その指のすき間からみえる,もうひとつの夜空がワイヤードを覆っているのが。




 
[2003.07.08]
  思い出のMP3


 ▼Casady & Greenが閉店(TidBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-686.html#lnk1


 1曲を3〜4MBにし,動画のオーディオをはるかに高音質のまま圧縮した(当時ビデオはモーションJPEG形式だったけど),MP3を使い出したあの頃。今も変わっていない現実を作り出した活気あふれたツールたち。

quote:カサディ&グリーン社が19年の歴史を畳んだ。同社はコンフクリト・キャッチャーや,iTunesのペースとなったサウンドジャムのような製品を送り出した,マック市場で最古参の会社だが,OS Xへの移行の流れに乗れず,財務的に生き残れなくなったようだ。

 MP3が登場し出したのがいつだったのか,よくはおぼえていないがそのとき夢中になって使っていたツールはよくおぼえている。MpeggerやN2MP3,サウンドジャムMPなどがあり,ちょっと遅れてマックアンプ(MacAMP)やオーディオン(Audion),ウインアンプのマック版などが登場した。ちょうどその境目あたりが,20世紀と21世紀の間になる。なかでもやっぱりトップランクの実力をみせていたのが,サウンドジャムMPだった。

 今のiTunes4をみても,その7割方は当時のサウンドジャムMPを引き継いでいる。カサディ&グリーンから制作者をアップルが引き抜いたのだから当然(過去記事)。わたしはサウンドジャムMPを,MP3プレイヤーのリオに曲を転送するためや,いつもいつもMP3を聴くためにずっと使っていたが,やはりその完成度の高さはうれしかった。そのカサディ&グリーンが消えるというのは,やっぱり寂しい。思い出の音楽がMP3で流れ出すとしたら,それはサウンドジャムMPでエンコードされたものだ。音楽がネットワークで生きるための絶対価値を知らしめ,奏でた,カサディ&グリーンを忘れない。




 
[2003.07.07]
  求めるもののある国


 ▼政府の検閲を問題にしない中国のネットユーザーたち(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030704205.html


 日本は自由で平和で快適で退屈だという。ホントに?

quote:中国では国家によるインターネットの検閲で,反体制活動の容疑者に厳しい刑罰が科せられていることが報じられているが,実際のネットユーザーにとってはグーグルにアクセスできるかどうかの方が問題だ。だが,メールに情報をペーストして送ってもらったり,プロクシを利用してアクセスできないページの情報を得ている人もいる。それらや携帯電話のショートメッセージも反権力に使えるかもしれないが,ほとんどの市民にとってはどうでもいいことだ。

 「この機械を取り付けると,求めている声は聞くことができて,求めていない声は聞こえなくなるんですよ。この世の中には余計な情報が多過ぎる。9割以上は無駄な情報とも云っていい。それらによって,私たちの大切な仕事や大切な余暇の時間は奪われ,無為に過ぎていく。そんな無駄を取り除けるこの機械はものすごい支持を集め,たちどころにすべての人がこの機械をつけて生活するようになったんです。が。

 大好きだった女の子の声が聞こえなくなったのはそれからです。でも,テレビの音声は聞こえる。好きな歌手のCDの音は聞こえない。けれどもインターネットラジオで違法に流れる音楽は聞こえる。それは困ると思うでしょう。なにか機械にバグがあるのではと思って問い合わせてみると,「よく考えてみてください。あなたは本当にそれをのぞんでいるのですか?」と問われて,もう一度考えると,聞こえなくなったものにはたいした価値がなかったような気もしてきた。なけりゃないで生きていけたりする。本当に必要なら,なくなったらわたしは死ぬしかない。でも,今もこうして生きてられるんだからね」。




 
[2003.07.05]
  ハプティック・コスモス


 ▼インターネット上で触覚を共有できる『ハプティック技術』(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030704301.html


 彼女の手の熱は,ワイヤードの方が感じられる。

quote:ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究チームが,他者が感じた触覚をインターネットを介して転送することに成功した。この技術は,通信教育や遠隔診断,バーチャル・リアリティやエンターテインメントといった分野に応用される。

 実際問題として,ここ,で感じる触覚をあちら,で感じるというような使い道よりも,どこにもない触覚を感じる,という使い道の方が増えてきそう。つまりはまったく仮想の感覚。オンラインゲームで,すべての感覚を受信するハプティックスーツのようなものを装着すれば,じりじりと照る日差しの強さから,正体不明のモンスターに触ったときの感覚,切りつけられた痛み,ヒーリングの魔法が身に染みてくる様子,などが得られる。そこでは,リアルと同じ感覚を感じる必要はなく,全身すべてで今までにない感覚をのみ,受け入れることができる。

 ここ,とは違う感覚に満ちた世界。触覚だけでなく,臭覚,味覚もある世界。現在のような,視覚と聴覚しかない世界では,それはただのおもちゃ,ゲームとしか映らないけど,五感で感じ,六感の存在を感じられるようになれば,生きるにたる世界となる。ワイヤードはリアルのサブシステムではない。朽ち果てたリアルから逃げる,そして潰すための空間となる。




 
[2003.07.03]
  知的財産の推進計画案


 ▼情報を囲い込む「知的財産戦略」は、インターネット時代には似合わない(RIETIコラム)
  http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0091.html


 国家的にみて最下層でも,ユーザーだけはきちんと行動を果たすべきだ。

quote:日本政府の知的財産戦略本部を出した「知的財産の創造,保護および活用に関する推進計画案」は,米国の特許強化戦略に20年も遅れて追随するものでしかない。映画の著作権が延ばさるなど,著作権では著作者の権利保護となんの関係もない国内業者の保護策が行われている。オープンソースによる技術革新を促進するなど,インターネット時代にふさわしい創造性が必要である。

 たしかに日本はブロードバンド環境が急速に普及し,それだけをみて世界でトップクラスのネット大国だなどと云う人がいる。…愚かな人たちだ。問題はいかに環境が整っているかなどではなく,いかに,どのように使われているかでしかない。情報が共有され,パブリックなものとして自由に使われ,そこから新しいものが創造され,新しい社会が創成される。ネットワークの価値のひとつがそれだとすると,日本がそのような次元で世界的に話題になったことなどなく,米国よりも欧州よりも,韓国よりも低レベルな位置にいる。さらに現行の政府の方針は,最下層まで日本を下げてくれるだろう。

 著作権重視を訴えている人たちは,戦争反対とわめく人たちに似ている。なくなるわけがない戦争に,なんの代替案も出さずにわめくだけで自己満足にひたろうとしている姿は,文化的な興隆のために必要なパブリックドメインの構築を阻止してでも自分の利益を守ろうとしている人と同じ。つまるところ,おまえ一人だけの世界にでも行け,と周りの人間は嘆いている。わたしたちは,政府の方針や愚かな国内業者の意向に従う必要もない。せっかくのブロードバンド環境をいかに有意義に使うべきかを考え,そしてそれに従って行動すればよい。




 
[2003.07.01]
  華四分五裂


 ▼有料ゲームで小5少女自殺 ネット先進の韓国に衝撃(Yahoo!ニュース)
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030627-00000124-kyodo-bus_all


 こっちにはなにがあるって。あはは,そっちで特別なものが普通にあるよ。

quote:韓国で,インターネットの有料ゲームを半年間に約17万円も使ったことで母親に叱られた11歳の少女が首つり自殺をし,社会に大きな影響を与えている。メディアは子どもが簡単に有料ゲームに参加できる現状を批判している。

 小学生のときに狂ったようにファミコンやってて怒られたような記憶があるんだけど,まぁそれとやってることは変わらない。ただネットゲーだと月間なり半年なり年間なりで接続に料金がかかる。ただそれが違う。そして当然ファミコンのゲームよりも,ネトゲーの方が依存度が強い,その2点が違うか。

 ゲームのなかにたくさんの人がいて,社会があって,思いがあって,好きな人がいて,そんな空間が,リアルと違うのはなんだろう。そして,よりその空間のなかに惹かれるのは,なぜだろう。少女はきっと知っていた。だからそこへ,行ったんだ。




テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル